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出版の将来−本の未来はこうなる−

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■セミナー聴講レポートをお送りいたします。
                              2016.3.28
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いつも大変お世話になっております。
エディットの伊藤隆です。
一斉メールにて失礼いたします。

いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

3月17日(木曜日)に行われたAJEC編集教室(2015年度最終回)
を受講してきました。下記に、私・伊藤隆の「聴講レポート」をまとめてお
ります。(よろしければ、少し長めで恐縮ですが、お読みいただけますと幸
いです。)

講師の永江朗さんは、著書が多く、私も何冊か書籍を手にして顔写真を拝見
していました。想像通り、瀟洒ないでたちで静かにご登壇されました。ゆっ
くりと壇上を動きながら身振り手振りを加えて、問いかけるように話されて
いました。

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【セミナー聴講レポート】
「出版の将来−本の未来はこうなる−」
                (出版ジャーナリスト 永江 朗 氏)
                    
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開口一番、「私にも本の未来はわかりません」と言われていましたが、巷で
言われがちな「読書ばなれ」についての自説を冒頭で語られました。

「書籍販売部数」と「生産年齢人口(15歳〜65歳)」の関係を統計資料から
分析したところによると、2015年現在と40年前の1975年の数字はほぼ同じで、
40年前の水準に戻っているというとらえ方ができる。

書籍販売部数:(1975年:6億3222万冊/2014年:6億4461万冊)
 ※平均すると一人当たり毎年5〜6冊購入していることになる。
生産年齢人口:(1975年:7581万人/2015年:7682万人)

また、毎日新聞の「読書世論調査」によると、「書籍読書率」は40年前から
ほぼ横ばいであることが読み取れる。同水準の40年前に「読書ばなれ」現象
が叫ばれていたわけではないので、今現在「読書ばなれ」が起こっているか
どうかは疑わしいと問題提起されました。

このほかにも出版業界に対する問題提起をされていましたが、
「大変化をもたらす仕掛け人」は、出版業界のアウトサイダーによる点を指
摘されたところに、私は大いに興味をもちました。

アマゾン・ブックオフ・TSUTAYAは、異業種から参入した企業。

「ブックオフ」は、中古ピアノ買取販売の会社をしていた坂本孝氏(いまは
「俺のフレンチ」で活躍されている)が、その手法を応用して出版業界に参
入したところから始まる。

店舗の作りは、マツモトキヨシの店舗を徹底的に研究して考えたものだと言
います。出版業界にいると気がつかないこと、出版業界にいないから気づく
こと。このあたりがここ数年の「伸びている会社」「伸び悩む会社」の違い
に表れているのではないかというご指摘でした。

私が置かれている「学参の出版」という立場に置き換えて考えると・・・

学習教材の販路は、「学校」「塾」「通信教材」「書店」が中心になります。
販路が異なると、購入を決定する相手が変わってきます。
また、発行部数や定価の付け方も基準が変わってきます。
よって、それぞれの販路による、本の作り方・出版の考え方・本の売り方が
生まれてきます。

それぞれの販路の考え方にとって、永江さんが言われる、
「インサイダー」と「アウトサイダー」の視点をもつことが大切なのではな
いかと思いました。

講演が終わり、聴講者からの質問に「これからの出版界にとっての新しいモ
デルはありますか」というものがありました。

聴講者への答えとして、下北沢にある「本屋B&B」のことを永江さんから
紹介されました。

「本屋B&B」は、嶋浩一郎さんや内沼晋太郎さんが作った書店です。従来
の「本を売るだけ」の書店ではなく、書店のなかで月に40本のトークイベン
トを組んだり、早朝に2回にわたって英会話教室をしたりして、「書店」を中
心に新しいビジネスを作り出そうとしている書店。永江さんの言葉で言うと
「本屋という口実でなんでも売っちゃう滅茶苦茶さがいい」とのことです。

他にも、VOYAGERの「片岡義男.com」という売り方、AKB商法(一
人が100枚のCDを買う)などの例を出されました。

他業種のモノの売り方を、「アウトサイダーの意見」として取り入れる必要
性を学んだセミナーでした。

ちょうどこのセミナーを聞く前の日に、ある編集者から

「近頃の編集者には、校了させるだけではなく、その教材を≪どう売ってい
くのか≫までを求められます」

ということを聞いていました。

われわれ編集プロダクションの立場からすると、エンドユーザーの視点をも
つことを忘れがちですが、今回の永江さんの言葉で言う「アウトサイダー
としての視点」で、出版社・編集部の皆様に何かを提案できるようにしてい
きたいと思っています。

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)