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「AJEC/第5回編集教室」聴講レポート

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■AJEC/「第5回編集教室」聴講レポート        2017.11.02
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今週月曜日の名古屋は,木枯らし一号が吹いておりました。
立冬を前に,冬は確実に近づいております。
お元気でいらっしゃいますでしょうか。

先週の26日(木)に行われた日本編集制作協会(AJEC)主催の編集教室(「校
正講座」)を聴講いたしました。
レポートにまとめましたので,ご一読いただけますと幸いです。

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■第5回編集教室(主催:日本編集制作協会)
 品質保証としての校正・校閲「デジタル時代に身につけたいスキルと知識」
 講師:本づくりと校正のぼっと舎・代表
    大西 寿男(おおにし・としお)氏
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講師の大西寿男さんは,一人出版社「ぼっと舎」の代表として,執筆・編集・
校正・校閲・DTP組版・講演活動など,幅広く活動されています。

今回の編集教室では,先月上梓された『校正のレッスン−活字との対話のた
めに−改訂3版』の内容を盛り込んだ,有益な情報を提示されました。

また,日ごろ大西さんがお考えになっている「校正論」についても,熱く語
られました。

大西さんは,

「校正のルールは,その会社独自の考え方(ハウスルール)をもとに,自然
と身についていくことが多いため,校正者のあいだで,校正用語の定義に違
いがあらわれたり,校正の仕方に違いが出てきたりする」

「知らず知らずのうちに,校正は,我流の心もとない作業になりがち。だか
ら,ほかの人がどのような校正をしているのかを知っておくことが大切」

と言われます。

独善に陥りやすい校正作業について,大西さんが提示される「校正12の知恵」
は,知っておくだけでも有効であると感じました。

1)校を重ねる/目を変える
2)文字を目だけで追わない
3)蟻の目,鷹の目。木も見て森も見る
4)引っかかったところをそのままにしない
5)偉い先生でも遠慮はかえって失礼
6)相手に伝わりやすい校正を
7)いろんな可能性を考える
8)ムリは見落としのもと
9)だいじょうぶと思わない
10)正しい日本語はない
11)ひとりで判断しない
12)ディスプレーでの校正は見落としのもと

これら12の知恵に対して,わかりやすく説明されました。

とくに目からうろこだったのは,上記の4)7)11)に関連する「ファクト
チェック」についての具体的な提案です。

有効な方法は,図書館のレファレンスサービスだと言われます。

ファクトチェックが必要な事柄を,図書館あてに,電話やメールで問い合わ
せすることのできるサービスです。

大きな図書館のレファレンスサービスの事例がデータベース化されています。

問い合わせをする前に,データベースを検索して,回答があるかどうかを確
認しておくと,効率的です。

過去の事例には,「質問」「回答」「回答プロセス」「参考資料」「キーワ
ード」「照会先」が掲載されていて,読み物としても,味わい深いものにな
っています。

・レファレンス協同データベース<<< http://crd.ndl.go.jp/reference/
・国立国会図書館リサーチ・ナビ<<< http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/

私がとくに共感したのは,大西さんの「校正哲学」ともいえる,

「校正の要諦は『リスク管理』と『言葉のエンパワメント』である」

という点です。

「リスク管理」というのは,あらゆる点から原稿を見直して,ミスを撲滅す
る姿勢のことです。

「言葉のエンパワメント」というのは,その言葉がもともと持っている魅力
やパワーを校正者が発揮させることだそうです。

「エンパワメント」とは,社会福祉の発想から生まれた用語で,「利用者や
その集団,コミュニティなどが,自分の力を自覚して行動できるように手助
けすること」です。

表記統一について,大西さんは,まず多数の表記に統一することありき,で
校正するのではなく,執筆者の無意識による使い分けを考慮して,表記の確
認をするべきだと言われました。

表記統一は大切な編集作業のひとつですが,ある編集者が言われていた
「学参の編集者は『表記統一病』にかかりがちだ」
という言葉も,頭の片隅に入れておく必要がありそうです。

日ごろ,当たり前に思って,洞察することのなかった「校正」について,深
く考えなおす良い機会になりました。

▼参考ページ
よい校正ってなんだろう? <<< http://dotplace.jp/archives/18990
校正・校閲というお仕事 <<< http://dotplace.jp/archives/28832

▼参考書籍
『校正のレッスン−活字との対話のために−改訂3版』(出版メディアパル)
 <<< http://dokushojin.com/book.html?book=2797
 

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)