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エディットお役立ちレポート

2016-05-18 第7回IT教育ソリューションEXPOに参加して

全体所感

昨年の東京ビッグサイトでのブックフェアで年を追うごとに入場者数が減っていると感じたのに対し(特にプロダクションEXPO側は顕著だったように思う)、教育ITソリューションは、どのジャンルのブースも満遍なく賑わっていたように思う。

教育ITソリューション単体での参加は初めてだったが、昨年まで感じていた教育ITのための「電子黒板」(書く媒体)「電子教科書」(読む媒体)については、落ち着いてきたのか、という印象をもった。

本展示で目についたのは、電子の読み書き媒体の展示ではなく、ITという名により寄り添った、ネットとタブレットをつかった「コンテンツ配信」――ICT教育に目がいった。実際、教育開発出版、Z会の方にも話をうかがったが、やはりICT教育の出展が増えているとのことだった。

ICT教育とプラットフォーム事業

定期的なコンテンツ配信というスタイルはコミックや小説などでは、ここ最近多く見られるフォーマットで人気を博しているが、企業単体でプラットフォーム(配信サイトなど)を立ち上げるよりも、すでにユーザーが登録しているプラットフォームへの提供、協業あるいは資本注入という形に収斂されていっているのではないかと思う。これは電子書籍配信サイトでも同じことがいえる。やはり、会員の母数をもち、かつユニークユーザー解析ができるプラットフォームにコンテンツが集まるものと考えられる。

プラットフォームとして、目についたのはやはり学校と強いパイプをもつ以下の3社。

■朝日ネット(朝日新聞系列会社)の「manaba
朝日新聞デジタルの大学向けコンテンツ、英検、東洋経済新報など
■株式会社Classi(ベネッセとソフトバンクの出資会社)「Classi
ベネッセのコンテンツと新規開発コンテンツ
■共同印刷株式会社「eZrack
漢検公式の過去問題集など

コンテンツ制作(我々からすると版元)と、プラットフォーム提供(我々からすると取次?)がわかれはじめている現状は、我々編プロなどのコンテンツ作成を業務としている者にとっては、単価が下がることにも繋がりかねず、「数をこなす」必要が出てくるものと考える。ただし、「数をこなす」だけの取引先開拓は必須になってくるだろう。

正直な話、制作会社には大変な時代になったと思わざるを得ない。どうやって仕事をとっていくのか、小口ばかりの仕事が増えるのではないか、大口を請け負うためにも何が必要かということは常に考えていかねばいけないだろうと、強く感じたEXPOであった。

理系教具の隆盛

ICT教育以外では、文科省が近年号令をかけている「理系教育推進」が、本展示会に大きな影響を与えていると思われた。特に顕著だったのが、別会場でひらかれていた「学びNEXT」での展示で指し示されていた。

学びNEXT会場では、学研やLEGO、Roland(音楽会社コルグのブランド)など知育と思わせるブロック教材と思わせておいて、実は基盤を組み込んだロボットや電子音楽の基礎教材というような商品(人が多くて触れなかった)、Unityなどプログラミングを学ばせるために比較的容易に組める言語ソフトを提供するメーカーなど明らかに工作+理系向けの教具ばかり溢れており、ここに編プロとしてなにか食い込めることがあるのかと、不安な気持ちにさせられた。

3Dプリンタの教育現場活用について

学びNEXTには「3Dプリンタ」テキストの制作のために、技術者にヒアリングの目的もあった。教育の場に活用したがっていた会社が、スマイルリンク株式会社(http://happysmilelink.jimdo.com/ )で、授業の時間などを考えればチャームなどがいいのではというアイデアもそこから聞いた(チャームのサンプルもいただいた)。また技術的な部分の話ができたのが、レブソニック株式会社(http://www.revsonic.com/ )。実はPCの筐体会社として知名度が高かった星野INGのWindy部門の部長が独立してつくった会社で、現在はabeeという高級筐体メーカーももっている会社だった<名刺がabeeのものだった>ため、雑談も含めていろいろとお話をうかがうことができた。

「3Dプリンタ」テキストのクライアントのプリンタは、機能的には中の下。値段的には申し分はないが、速度や精度ではレブソニックのものよりも数段劣る(実際双方のサンプルを手にとってみたが、その違いは歴然)。

また、クライアントのプリンタ自体は海外メーカー製だけにサポート体制がしっかりしていないとのこと。3Dプリンタは最初のセットアップとフィラメントのノズル管理がキモとのことで、これは先生方には負担になるだろうとも。あまり高度で大きなものをつくるというのは時間的にも論外(5センチ四方のものをプリントするのに、8時間ほど)。

テキストでは、将来的にどのようなことができると想定されているのか、また、現在どのような業態で使用されているのか、という子どもたちの想像をかき立てる「夢」の部分と、3Dプリンタを使用するにはなにが必要か(3DグラフィックソフトやCADソフト、フィラメントや光硬化石膏など)、実際にできあがったサンプル回覧などを行い、グループごとに3Dソフトでなにがやってみたいかなどを問わせる。目の前でチャームか判子をつくり(二〇分程度)、個人またはグループで、同様のデータをつくらせる(出力は出力センターで一括しておこなう)、という形がやはりベターかと思えた。

(文責:名古屋本社 福ヶ迫昌信)