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エディットお役立ちレポート

2017-05-12 MORISAWA FAIR in NAGOYA 特別企画セミナー

第1部 文字組版の知識から制作の効率化へ繋げるには?

「きれいな組版とは?」という話題から始まりました。スライドに提示された,微妙に組まれ方の違う見本組2点について,「どちらがよいと思うか?」という問いが投げかけられ,会場からは,「見出し下のリード文が詰まっているのが見づらくて気になる」,「本文が明朝体であるほうが読みやすい」など,さまざまな意見が出ました。人によって,組版上の判断基準のどこに重きを置くかが異なるのだそうで,そこが面白い部分なのだとおっしゃっていました。

本来,組版では,ベタ組みが一番読みやすいと考えられていますが,場合によっては,どうしても入りきらないなどの理由から,詰め組みを行うときもあるそうです。どちらかが一方的に正しいかというよりは,場合によって,より適切な組み方を選択し,調整していくことが大切なのだそうです。とくに,詰め組みを選択するときは,「詰めすぎないこと」はもちろん,きちんとした「意図をもって設定する」ことが何よりも重要だそうです。曖昧は一番キケンということでした。これは,組版以外にもいえることだと思います。

組版をするとき,実際の現場では,「(版元に)言われた通りに組むしかない」ということが多いのだそうです。しかし,それでも。「できれば,その紙面の読者の背景を想像し,どうすれば伝わりやすいのかを考えることが大事,考えてみてほしい」と村山さんはおっしゃっていました。「読者のことを考える」。これは,組版に限らず,出版に携わる人々が忘れてはいけない,最も基本的な事項だと思いました。 組版で留意するべきことは山ほどあり,その中で,「約物の名称を正しく使っていますか?」という話題がありました。下のスライドキャプチャをご覧ください。会場では,少し,「改めて聞かれると不安……」,「あれ?」というような雰囲気になりました。

約物

いかがでしょうか。伏せられている箇所の左上から 墨付き括弧,ブラケット,ギュメ…………!!このあとがポイントで,≪ ≫,< >は括弧ではなく不等号,約物ではありません。注意しましょう!ということでした。このひっかけが含まれていたので,そうだと思っていたけど違うの……?という空気になっていたようです。先のとおり,改めて聞かれるとつい不安になりがちですが,いつでも,堂々と自信を持てるくらいまで知識を高めたいな,と,思いました。

また,次のようなお話もありました。組版ルールにおいて,圏点(傍点)をルビにつけるかどうかの決まりは書かれていないのだそうで,あなたならどうしますか?どう思いますか?というものでした。

「行間が広くなってしまうからつけない(ややこしい,そこまでは不要etc…)」

というのが,私も含め会場の主な意見のようでしたが,読み方を強調したい場合の方法の一つとして,場合によってはアリなのでは?(あまり文字が小さくないことが重要だと思いますが……)とも思いました。とくに,雑誌のような自由度の高い紙面やチラシなどでは,あってもよいのでは……?と感じたのですが,みなさまはどうお考えになりますでしょうか。やはりくどいでしょうか。

「最近は圏点(傍点)を使っている本をあまり見かけなくなった,もっと使ってほしいんだけどなあ」

というのは,村山さんのお言葉です。

ほとんど組版概要のお話で,時間の最後に駆け足でIndesignとMC-smart(モリサワ製品)の簡単な仕様比較,紹介をしていただき,第1部は終了となりました。話したいことがいっぱいでいっぱいでとおっしゃっていた村山さんのお気持ち,よくわかります。

第2部 学参で欠かせない組版の基本ルール
〜Wordの品質を上げる方法を教えます!〜

「学参」と銘打ったからには,ということで,ちらりと教育に関する話題(デジタル教科書)から第2部は始まりました。デジタル教科書は,まだ副教材の域を出ておらず,組版としては,何をおいてもまずは「紙のレイアウトが基本」なのだそうです。

第2部から参加される方もいらっしゃるので,第1部と重複する部分も交え,セミナーは進んでいきました。ほぼ組版ルール中心のお話ではありましたが,第1部も同様,セミナーのポイントは,「Wordの有効利用に着目した,作業の効率化」でした。Wordを最大限に活かすことができれば,組版の作業負担は減らせるのではないか,というお話(そこでモリサワのMC-smartが出てくる)です。

日本の西側には,大手ではないものの数多くの出版社があり,そこでは原稿作成(組版面)において,同じような悩みをお持ちであるということでした。それは, 「Wordは,機能を駆使すると,結構すごいものができる。だがしかし,限界がある。」 というもので,この「限界」という部分がなかなか曲者のようです。

そこで,村山さんがMC-smartを売り込まれた際,そのお困りの方々は,Word感覚できれいに質よく組める機能に,すごいなと関心を持たれたそうです。しかし,大学の教授さんには,「論文にはこの書体を使いたいんだ」というこだわり(伝統などが理由)があるのだそうで,「そこ(ソフトの弱い部分?)を指摘されてショックだった」とおっしゃっていました。それでも,このような声を受けながら,便利なソフトに成長していくのかなと思いました。

感想

会場には,富士ゼロックスさんとコニカミノルタさんのオンデマンド印刷機も展示されていました。コニカさんはモリサワさんと提供されており,そうではない富士ゼロックスさんとバチバチの営業商戦が繰り広げられていました。いまのオンデマンド機は,色の再現から簡易製本,販促物まで,さまざまな進化を遂げていて,すごいなと思いました。

中綴じ製本され,裁断まで1台で行えることにも感動しました。色の置き換えも簡単に行え,フォーマットさえ作れば,ミニテスト・ドリルというような冊子も,印刷機だけでいとも簡単に制作できるそうです。このフォーマットは,SVG形式でプログラム作成するそうですが,デジタル教材が増えていくであろうこの先は,プログラムに関する知識があると,強くなっていけるのかなと感じます。 小ロット対応に適したオンデマンド印刷,いつかエディットの会社案内等にも利用される日がくるのでしょうか……?
(印刷機としては,富士ゼロックス機だと,機械自体が高額なので,印刷のコストは,裁断まで含めて1枚あたり20円くらいなのだそうです。また,版ずれ自動補正機能がすごかったです。)

『究極の効率化とは自動化』と,セミナーの中でお話がありました。しかし,自動化をするには,自動化用の準備が必要で,その準備にもそれなりの時間がかかります。そこの壁さえ越えれば,楽になるのかもしれませんが,実際はその間にも常に業務は立て込んでいるわけなので,どちらがより効率的なのかはわからない部分が多いようです。組版形式のほとんど変わらないものであれば,自動化した方が当然スムーズになりますが,テキストデータではない,すぐに組版できる状態にない原稿が届く現状があったり,微妙な調整や要望が多い案件があったりと,自動化へ進むというのは,解決・整えるべき課題がたくさんあるのだなと感じました。

(文責:名古屋本社・制作部 堀あやか)