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エディットお役立ちレポート

2017-10-26 第12期第5回AJEC「編集教室」に参加して

【講義内容】◎品質保証としての校正・校閲
〜デジタル時代に身につけたいスキルと知識〜

講師:大西寿男(おおにし としお)氏
ポット舎/代表・校正者
講師略歴:1952年神戸市生まれ。主に文芸書・一般書の校正を担当。1989年より編集・DTP・手製本も手がける出版事務所・ぼっと舎代表。企業・大学で校正セミナーの講師も務める。言葉の寺子屋「かえるの学校」設立メンバー。著書に『校正のこころ』(創元社)、『校正のレッスン』(出版メディアパル)、『セルフパブリッシングのための校正術』(日本独立作家同盟)など。
http://www.bot-sha.com  https://www.facebook.com/bot.sha.book

大西さんは、独特の校正の哲学を持っている。

「校正は何のために行うのか?」という問いに対して、大西さんは「一つは、リスクマネジメントのためであり、もう一つはエンパワメントのためである」と答える。

講演内容はAJECのアーカイブにてご確認ください

<感想>

レジュメを基に、いろいろな提案がなされた。レジュメに近著の『校正のレッスン──活字との対話のために──改訂3版』の該当ページが振られているが、まさにそのとおりで、この本に更に詳しい解説がある。会場で安く売っていたので、私も購入したが、なかなか参考になる。ある意味では、この本のPRのための講演でもあったような印象。

この講演も、時間ギリギリで、質問の時間も取れなかった。もっとも、たった1時間半の講演で、校正の技術論を語れというほうが、無理なのだろうと思われる。したがって、具体的な内容や資料は、本を購入することをお薦めする。日本エディタースクールからも校正必携や編集必携が出ているが、大西さんの本のほうが、読みやすい(手元に置いておくと便利)。

今回の話で興味深かったのは、校正の役割として、「リスクマネジメント」と「言葉のエンパワメント」をあげていたこと。大西さんの最初の本が『校正のこころ』という本だったが、校正という仕事の意義について、なかなか面白い考え方をしていると思った。

特に、「書かれた言葉」というのは、ある意味では、作家からも独立しているわけで、その言葉をどう磨きあげていくのかに、校正の一つの仕事があるというのが面白かった。「書かれた言葉」は、それだけで力を持っているのであり、それ故にまた、リスクも抱えている。ある意味では、言葉が一人歩きをすることにもなる。

現在、私たちは、ほとんど、文章を手書きではなく、デジタルで表現している。ワードで書いたり、メールにしたり、HPやブログなど。そうした表現は、場合によっては、世界中の人たちに公開され、書かれた言葉として、一人歩きをしていく。もちろん、その中には、明らかに悪意を持って書かれてものもあるが、そうでなくても、言葉は、誤解を与えたり、傷つけたりすることがある。私たちは、校正者としてだけでなく、書き手として、校正の持つ意味(この場合は、推敲、セルフチェックとでもいうべきかもしれないが)を考えておくべきだと思った。

講演内容は、技術論としては、時間もなく、不満が残ったが、いままでの校正についての講演とは、少し違った角度から語られていて、個人的には興味深かった。

私のレポートもいつも誤字脱字が多いが、自分の書いた言葉というのは、なかなかうまく校正できないことだけは確かだと思う。今回は、一度プリントアウトして校正してみたが、それでも多分校正ミスはあると不安になった。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)