エディット通信(2023年薄暑号)

■ AJECオンライン5月編集講座  「読むから聴くへ。オーディオブックで広がる本の可能性」を聴講して

皆さまへ

いつもたいへんお世話になっています。
エディットのメルマガ「エディット通信」(2023年薄暑号)をお送りいたします。
このメールは、エディットの社員が名刺交換またはイベント等で名刺をいただいた方に配信しております。

ご不要の場合は、お手数ですが、メールにて、ご一報ください。


岡田氏からは、オーディオブックの歴史や市場、制作上の演出ポイントなどについて、興味深いお話をうかがうことができました。
私が興味深く感じたことをまとめております。

もしよろしければ、ご一読いただけますと幸いです。

●AJECオンライン5月編集講座●
・テーマ:「読むから聴くへ。オーディオブックで広がる本の可能性」
・講  師:岡田朗考(おかだ・あきたか)氏
  パンローリング株式会社マルチメディアコンテンツ制作部部長
・日  時:2023年5月19日 (金) 18:00~19:30(90分)

パンローリング株式会社は、2006年からオーディオブックの刊行を始められました。
パンローリングのオーディオブックの分野は、当初、投資の専門書に特化していましたが、現在は自社の多様な分野のコンテンツ、パブリックドメインのもの、他社のコンテンツなども手がけられ、幅を広げていらっしゃいます。
153社と提携しており、国内外のプラットフォームに配信しています。

オーディオブックは、移動中や家事中などに本を聴くことができる便利なメディアです。
子育て系の本がけっこう読まれているのだそうです。

母親は日ごろ家事が忙しく、子育て系の本を購入はするけれど、疲れて読めずに「積読」になるケースが多い。
オーディオブックなら、家事や買い物をしながら聴けるので、時間を無理に作り出す必要がなく聴かれやすいのだとのことです。

岡田氏は、
「届けたいその内容が、情報として伝えたいものなのか、体験として伝えたいものなのか」
という観点のちがいによって、オーディオブックの制作スタンスは変わることを説明されました。

「情報として」なら、読者には合成音声でもその内容は伝わるし、倍速で聞かれても問題なく伝わります。
しかし「体験として」なら、その書籍の世界観に合わせた演出が必要となります。

たとえば、子育て系の本なら、その読者に対して、
「どうしても完璧を目指しますよね……」
「今のやり方で、そんなに間違っていませんよ!」
と、《おかあさん》に寄り添った語り口調であることを大切にされます。

オーディオブックの制作で関わる人は、
《作家》《編集者》《ナレーター(声優)》の三者となりますが、その役割分担がオーディオブック制作ならではのもので、興味深いものでした。

しかし、オーディオブック制作ならではのもの、と思ったその役割分担も、書籍編集をする私も、じつは同じ役割分担で仕事をしていたことに、はたと気づくのでした。

オーディオブックを作るときに大事なのは、読者が《この本の何を聴きたいのか》を編集者が理解し、それをナレーターに伝えて仕上げることです。
ナレーター(声優)はどうしても自分の話したいように話しがちだけれど、そこを指摘して、読者が聴きたいように話させるのが肝となります。
また、テーマに応じて変わる演出に、柔軟に対応できるナレーター(声優)を育成することの重要性も語っておられました。

書籍においても、執筆者の書きたいことをそのまま出版してしまっては、読者は読もうとしません。
書き上がった著者からの原稿を見て、その原稿が読者のニーズに合致するものかどうかを判断するのが、編集者の役割であることを再確認しました。
また、編集プロダクションは様々なテーマの書籍制作を行いますが、様々なテーマに柔軟に対応できる執筆者と付き合っていくことの重要性も再確認しました。

オーディオブックは、コロナ禍で売上を伸ばした業界だそうです。
ラジオの聴取率が上がり、ラジオ広告も値下げしないほど高いとのことです。
世界的な規模でオーディオブックの業界を鳥瞰すると、今後も大きくのびてゆく業界なのではないかと思いました。

岡田さんのお話から、読者の心を動かすものづくりは、媒体は異なっても、共通するものがあることを再確認しました。
大いに刺激を受けた90分のセミナーでした。

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●ファクトチェック(事実関係の確認)のやり方【ファクトチェックの基本項目】
 https://dank.jp/blog/factcheck/

【エディットお薦めサイト】
●日本文藝家協会
 <<< http://www.bungeika.or.jp/
●日本図書教材協会・全国図書教材協議会
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●教科書協会
 <<< http://www.textbook.or.jp/
●毎日ことば
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●日本編集制作協会
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