エディット通信(2023白露号)
皆さまへ
いつもたいへんお世話になっています。
エディットのメルマガ「エディット通信」(2023年白露号)をお送りします。
■教育シンポジウム
『言葉を知る。言葉を学ぶ。言葉を教える』 を聴講して
□エディットの計画有給付与日(09月15日)のお知らせ
8月21日、御茶ノ水のSola City Hallに出向き、日本文藝家協会主催のシンポジウムに参加しました。
大きく分けて、1部は教育シンポジウム、2部は懇親会でした。
2部では、高等学校の国語教育に関係する出版社様と情報交換をすることができ、有意義な時間を過ごすことができました。
1部の教育シンポジウムを聴講して印象に残ったことをまとめました。
ご一読いただけますと幸いです。
■教育シンポジウム
『言葉を知る。言葉を学ぶ。言葉を教える』
日時:2023年8月21日(月)16:00~19:30
(懇親会は18:00~)
場所:Sola City Hall<EAST>
主催:公益社団法人日本文藝家協会
ゲストスピーカー:
阿部公彦氏(文藝家協会理事:現東京大学教授)
紅野謙介氏(文藝家協会会員:日本近代文学研究者)
進行:伊藤氏貴氏(文藝家協会理事:現明治大学教授)
伊藤氏貴氏がシンポジウムの進行をされ、紅野謙介氏からは『ナラティブと文学の有用性』について、阿部公彦氏からは『言語は生成AIとどう付き合っていくのか』について、20分ずつ話されました。
伊藤氏が両氏の話を別の切り口から解説されたり、問いかけられたり、意見交換をされたりしていました。
今回は、紅野氏のお話について印象に残ったことを紹介いたします。
高等学校『国語』の学習指導要領では、論理的・実用的文章と文学作品の扱い方で注目を集めました。
実用的なことは論理的・実用的文章でしか学べないものなのかという疑問をもっていましたが、今回の紅野氏の文学の社会的有用性に関するお話はたいへん参考になるものでした。
キーワードとなる『ナラティブ』という言葉は、「物語」「話術」「語り」などと訳されます。
しかし、ナラティブには、《語る行為》と《語られたもの》の両方の意味が含まれることもあり、ナラティブという英語をそのまま使うほうが誤解は生まれません。
冒頭で、紅野氏より紹介された『人を動かすナラティブ』(大治朋子著/毎日新聞出版)では、ナラティブとは、「さまざまな経験や事象を過去や現在、未来といった時間軸で並べ、意味づけをしたり、他者との関わりの中で社会性を含んだりする表現」と定義されています。
文学とは、文学作品にあるナラティブによって読者の共感を呼び、情動を揺さぶり、感情の共有を生み出すものではないかと言われます。
《小説や新聞が国民国家を形成する》といったベネディクト・アンダーソンの言葉から、その魔力を意識し、ナラティブの仕組みを知ることで、ナラティブの複数化・多様化に応じた認識の深掘りをする必要性を提案されていました。
・例えば、芥川龍之介の『羅生門』を読むとき、下人の視点だけで鑑賞するのがよいか?
・老婆の視点で読み直してみると異なる世界が見えてこないか?
・美術品のように文学作品をあがめるより、そういったナラティブの認識を深掘りするものとして扱うことこそが、文学の有用性に結びつくのではないか?
と言われます。
文学作品に向き合う「共感する」姿勢についても、改めて考え直す提言がありました。
ある著名な人が「教科書のなかの、昔ながらの文学作品を読んで、生徒は共感できるのか?」と問題提起したことを受けて、紅野氏は、
「共感できないものをきちんと読み解いていくうちに、こういう考え方もあるのだという共感もあるのではないか。」
「他者を理解するために、論理的に理解しようとすることは、文学作品の読み取りから学ぶことができるのではないか。」
と言われていたのが、印象的でした。
広津和郎著『松川裁判』は、作家が判決文の論理性を分析した名著と紹介されていました。
法の解釈をするうえで、書かれた文章を論理解釈することが求められますが、そこには文意の裏にあることを突き詰める想像力も必要とされます。
「司法修習生はとにかく小説を読むように」と言われたりするようですが、論理解釈を習得するために小説を読むことが必要であることに、なにか示唆するものを感じ取るのでした。
この1時間半の教育シンポジウムの話の内容は、樹液のような密度の濃さで、私には理解が及ぶまでに時間のかかるものでした。
しかし、じっくりと自分のからだにしみ込ませて理解を深めたい内容でした。
別の機会に、阿部公彦氏のテーマについてもご紹介したいと考えております。
★参考動画★
「言葉を知る。言葉を学ぶ。言葉を教える」シリーズ
●鼎談・第1回大学入学共通テストを振り返る
https://www.youtube.com/watch?v=yEJtvkI84wo
●鼎談・国語教育をめぐって 第2回大学入学共通テストと高等学校学習指導要領
https://www.youtube.com/watch?v=eXu6e7W0lOM
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□エディットの計画有給取得日につきまして
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
エディットは、9月15日(金)は、計画有給日を頂戴いたします。
その日に、業務上のやり取りなどが発生するようでしたら、事前に担当者とやり取りを進めておいていただけますと幸いです。
━━━━━━━━━━━━
■エディットのお薦め記事
━━━━━━━━━━━━
●「ChatGPT」が書いた文章を見分けることは可能か
--5つの検出ツールをテスト
https://japan.zdnet.com/article/35207809/
●Google Bard(グーグルバード)がアップデートでより使いやすい生成AIへ
https://find-a.jp/seotimes/update-google-bard/
●安河内式プロンプト作成術
https://ameblo.jp/yasukochi-tetsuya/entry-12809696055.html
●理科のテスト問題をつくる
https://prompt.quel.jp/prompt.php?pid=10006
●ChatGPT(チャットGPT)の 文章校正に使えるプロンプト<3選>
https://shokugyoujin-bible.com/prompts-chatgpt-grammar-check_2162.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本づくり、教材づくりでお困りのときはエディットへ
株式会社 エディット https://www.edit-jp.com/
(名古屋本社)
〒451-0046 名古屋市西区牛島町5-2 名駅TKビル6F
phone:052-586-0631 fax:052-586-0632
(東京オフィス)
〒162-0822 東京都新宿区下宮比町2-25
飯田橋ハイタウン727号
phone:03-5225-0981 fax:03-3266-5072
(大阪オフィス)
〒541-0041 大阪市中央区北浜3-5-19
淀屋橋ホワイトビル612号
phone:06-6208-0501 fax:06-6208-0502
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールは、エディットの関係者が名刺を頂戴した方に配信しています。
配信を希望される方は、メールにてご一報ください。