エディット通信(向日葵号)

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エディット通信(2024年/向日葵号)

AJECオンライン編集講座2024/6月講座
「編集の基礎-編集制作工程と編集者の役割-」を聴講して


分かりやすい語り口で好評の、ベネッセコーポレーション/藤本隆氏の2024年度・第1回めの編集講座は、印刷の歴史、一冊の本ができるまでの工程について丁寧に説明され、編集者の役割について解説、提案されました。
この内容の講座は、すでに何度も受講しておりますが、今の自分の成長度を確認する意味でも、毎回、新しい発見のあるものです。

今回も、講座のレポートをまとめてみました。
もしよろしければ、ご一読いただけますと幸いです。

● AJECオンライン編集講座2024/6月講座
「編集の基礎-編集制作工程と編集者の役割-」
講師:藤本 隆(ふじもと たかし)氏
株式会社ベネッセコーポレーション・ものづくり推進本部
日時:2024/06/27 (木)18:00~19:30

編集者は、企画から製本まで、全ての工程を俯瞰し、関係者と連携しながら、プロジェクトを推進する中心的な存在です。

私は編集者24年めとして、藤本氏のお話を、今までの自分の振り返りのつもりで聴講しました。
心に残った言葉は、「後工程はお客様」というものです。
その言葉から想起する日ごろの自分に、≪作業に逃げていないか≫と声をかけてやりたくなりました。

学校教材の編集を中心とした編集プロダクションの編集者は、1つのお仕事に対して、たとえば、
1)執筆要綱の読み込み
2)原稿執筆の依頼
3)原稿の受け取り→原稿整理→組版出稿
4)初校出しの受け取り→社内校正、社外校正、版元校正、集約、初校戻し
5)再校出しの受け取り→社内校正、社外校正、集約、再校戻し
6)念校出しの受け取り→社内校正、版元校正、念校戻し
7)校了→校了データの最終確認と納品
という工程を踏むことがあります。

編集者に求められるのは、たとえば、4)と5)の工程間になにか問題が起こっていないかを見つけ出すことだと、藤本さんのお話を伺って気がつきました。

たとえば、4)の版元校正で、企画の大きな変更があったとします。
具体的な指示はなく、方針だけを伝えられ、その具体的な修正はこちらにゆだねられました。
納期は当初のスケジュール通りなので、初校戻しは予定通りに進めないと間に合いません。

時間がないそんなときは、企画変更にともなう具体的な修正(たとえば設問の差し替え、その解答、解答解説の差し替え)を先に進めて初校戻しを行い、体裁上のチェック(たとえば、解答や解説との整合性)は、再校段階で念入りにチェックをしておこう、などと決めます。
そういった作業内容の見極めは、全体を取り仕切る編集者の役割となります。

窓口となる編集者が、問題の差し替えを自分で行ってしまったら、どうなるのでしょうか。
・初校戻しの日程が遅れてしまう
・疲れ果てて急いで作成した問題なので、新しい方針に合わないものを仕上げてしまう
・そもそも作業することに酔いしれて、自分の作りたい問題をつくってしまう等が起こってしまいます。

ここで「後工程はお客様」という言葉を知ると、はっと目が覚めるかもしれません。

後工程とは、初校戻しの組版修正を行うオペレーターの方かもしれません。
作業をしやすい戻し校になっていないと、予定通りの日程で再校がアップされるかどうかわかりません。
再校が予定通りにアップされないだけでなく、修正が粗いものになるかもしれません。

再校を予定より遅れて版元様に提出することになると、版元担当の方は、当初想定した日を、別の日に設定し直さなければいけないかもしれません。

版元の企画変更による差し替え原稿の作成は、別のしかるべき人に依頼するという段取りこそが、窓口編集者に求められていることだと気づくことになります。

藤本氏の今回のお話から、「段取り力と交渉力」が大事だと言われていました。
複雑な工程を整理し、関係者との円滑なコミュニケーションを図る能力です。
言われてみれば当たり前のことなのでしょうが、具体的に編集者の日常を切り取って、判断を迫られるその時その瞬間を見直してみると、耳の痛い話にはなりますが、次に生かせる内容だと思いました。

印刷の歴史から最新のAI技術まで、幅広い知識を俯瞰することもできた、ためになる90分間の講座でした。

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今回もエディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートを作成しております。
合わせてご覧いただければ幸いです。
https://www.edit-jp.com/report/20240627/

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