エディット通信(2024仲秋号)

皆さまへ

いつもお世話になっております。
エディットのメルマガ「エディット通信」(2024年/仲秋号)をお送りします。

エディット通信(2024仲秋号)

● AJECオンライン編集講座2024/8月講座
「校正記号と校正補助ツール」を聴講して

今回のエディット通信は、1か月ほど前となりますが、日本編集制作協会(AJEC)第2回編集講座の聴講レポートとなります。
校正をテーマにした講座は毎回人気があり、110名を超える参加者があったと聞いております。

講師は、初登壇の株式会社ベネッセコーポレーションの須藤渉一氏でした。
須藤氏のお話は、ユーモアと身振り・手振りを交えての、引き付けられる内容でした。
私の印象に残った部分をまとめてみました。

よろしければ、一読いただけますと幸いです。

● AJECオンライン編集講座2024/8月講座
「校正記号と校正補助ツール」
講師:須藤 渉一(すどう・しょういち)氏
株式会社ベネッセコーポレーション・ものづくり推進本部
日時: 2024/08/29 (木)18:00~19:30

今回のテーマは「校正」でした。
校正とは、「校(くら)べ 正(ただ)す」であり、もととなる原稿、資料、基準と照合し、誤りを正すこと、であると、冒頭で説明されました。

《誤りを正す》対象として、以下の6つの観点が示されました。
1)誤字誤植……単純誤植・誤変換・文字化け
2)文法・表現……誤用・口語表現
3)整合性……連番・相関する要素
4)ファクト……固有名詞・固有情報・異体字
5)表記ゆれ……不統一
6)レイアウト……色・書体級数・扱い

私は先輩編集者から、内容面の校正と形式面の校正とは分けて行い、チェックリストを作って、細分化されたチェック観点を、一つ一つ確実に行うことの重要性を教えられました。
上記6つの観点は、形式面の校正が中心となりますが、つい忘れてしまいがちな観点が多く盛り込まれています。
「2)文法・表現」については、校正する人間の言葉の知識が試される観点です。
思い込みをもったまま誤って覚えてしまっている知識がないかと、日々、自分の言語感覚を更新していかなければならないと省みた次第です。

次に、≪「品質向上の工程」と「品質保証の工程」を明確にして工程設計する≫は、何度教わっても心に響きました。
思えば、原稿段階はおろか、初校段階や再校段階になっても、「品質向上の工程」を踏んでしまい、結局のところ、最後の一工程で「品質保証の工程」を踏むだけに陥ったことを思い出し、反省することが頻りでした。
原稿段階に絞って品質向上を行い、初校以降は、すでに固まった内容の品質を確実に保証できるまで磨き上げるべきだ、と再確認できました。

もう一つは、各種校正システムを有効活用することの意義について語られました。
1)機械校正ツール
2)オンライン校正ツール
3)オンライン送稿ツール
これら3つの校正補助ツールについて解説されましたが、殊に「1)機械校正ツール」の紹介で、「形態素解析」によるチェック結果の説明が、校正ミスの傾向を知ることができて面白く感じました。

紹介されたシステムでは、投入した文章のなかに、《誤字誤用》があれば、赤色のマーカーが引かれていました。
《表現に注意が必要》と感じる箇所には、黄色のマーカーが引かれていました。
(ここでは、「都下」という言葉に引かれていました。「都下」は見下した表現であるので注意が必要ではないか、という指摘です)
《同音異義の漢字の疑いのあるもの》には水色のマーカーが引かれていました。
そして、《未知語》には緑色のマーカーが引かれていました。
(未知語とは、すなわち入力ミスの指摘になります。例として「今日のの天気」の2つめの「の」にマーカーが引かれていました)
色分けされたマーカーの色でミスのパターンを確認しながら、抽出されたミスとされるものを再校正する人間が、改めて検討して修正指示を入れるという校正の在り方を、もっと大事にしていきたいと思いました。

須藤さんが「校正のポイント」として、《複数で見る》という観点を出されていました。
この形態素解析による機械校正(AI校正)は、人間が校正しても見つけられない見逃しがちなケアレスミスを見つけ出してくれるという力強い味方です。
「品質保証」の工程で、編集者や校正者による複数チェックだけでなく、各種ツールを生かしながら、校正ミスを撲滅できるようにしたいと思いました。

最後に聴講者からの質問が多数寄せられていて、講師の須藤氏が丁寧に回答されているのが印象的でした。
あっという間の90分間の講座でした。

---
今回もエディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートを作成しております。
合わせてご覧いただければ幸いです。
https://www.edit-jp.com/report/20240829/
---

次回のAJECオンライン講座「編集の基礎-フォントとDTP-」は、9月26日18時から開催されます。
知れば知るほど奥深いフォントについての話です。
詳細内容は、下記をご参照ください。
>>>https://ajec-koza240926.peatix.com/

■エディットのお薦め記事

●録音→議事録をAIが作成してくれるツール、LINE WORKSから
 https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2409/18/news196.html
 ※正式サービス開始です。

●遠く離れた実家でPCトラブル発生! そんなときは「クイック アシスト」を使って救え
 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/1620692.html
 ※これの遠隔操作機能を使えば、在宅勤務の人も会社のPCを使えるのでは?
  Windowsの機能なので、VPNより安全なように思います。

●講師は全員Vtuber! 推しが教えるバーチャル学習塾「Wish」、2025年3月に開校
 https://edu.watch.impress.co.jp/docs/news/1620685.html
 ※今月のプレ授業では教育開発出版様の中学問題集を使用するそうです。

●「一晩寝たら解決策が浮かぶ」という現象のメカニズムが一部解明される
 https://gigazine.net/news/20240903-sleep-brain-process/
 ※行き詰ったら翌日まで待つのがいいようです。

●自宅で受検できる「漢検オンライン」2~4級を増設
 https://resemom.jp/article/2024/09/03/78685.html
 ※いろいろオンラインに移行していきますね。

●東大生の定番、スーパーサブ教材「歴史学習まんが」が受験に役立つ理由
 https://resemom.jp/article/2024/08/27/78570.html
 ※マンガは人に焦点を当てるので、歴史との相性がいいのかもしれません。

━━━━━━━━━
本づくり、教材づくりでお困りのときはエディットへ
株式会社 エディット https://www.edit-jp.com/
企画ソリューション部/伊藤 隆
Email:t-ito@edit-jp.com
(名古屋本社)
451-0046 名古屋市西区牛島町5-2 名駅TKビル6F
phone:052-586-0631 fax:052-586-0632
(東京オフィス)
162-0822東京都新宿区下宮比町3-2
飯田橋スクエアビル6階A号室
phone:03-5225-0981 fax:03-3266-5072
(大阪オフィス)
541-0041 大阪市中央区北浜3-5-19
淀屋橋ホワイトビル612号
phone:06-6208-0501 fax:06-6208-0502

━━━━━━━━━
このメールは、エディットの関係者が名刺を頂戴した方に配信しています。
配信を希望される方は、メールにて、ご一報ください。