年初に行われた教育開発出版様の教材展示会にて,たいへん興味深い研究セミナーがありました。
再来年の1月より実施され始める「共通テスト」を捉えるうえで,参考になる報告でした。
私が興味深く聴いた内容を中心にまとめさせていただきました。ご一読いただけますと幸いです。
白井孝明氏は,共通テストから読み取れる試験問題に込められたメッセージを「ちゃんと読め」と捉えられました。
また,センター試験に求められるのは「単線的読解」であったのに対して,共通テストで求められるのは「複線的読解」であるとされました。
白井氏は,「複線型読解問題」の対し方を,
「情報はある程度取捨選択されています。ただし,複数の「かたまり」に分散して存在しています。これらの情報群を,目的に沿って関連付け,解決の道筋をつける必要があります。」
とされました。
例えば、国語の試験では,複数の文章や情報(白井氏は「非連続型テキスト」と言われています)を行きつ戻りつしながら読み進める,というエネルギーが付加されます。
また,数学や社会の共通テストにも変化が顕著であると言われます。知識前提で解ける問題ではなく,書かれた文章や情報を全部読まなければ解けない問題に変わるとのことです。
5教科とも,文章や情報を早く読み解くテクニックを身につける必要があります。 教科の垣根を超えた問題(日本史の問題のなかに古文読解が入るなど)に対応できる読解力も求められます。
私がいちばん興味深く感じたのは,受講された塾の先生方へ,
「問題中の文章に矢印や線をつけさせる指導をしてほしい」
「書きながら問題を解く習慣をつけさせてほしい」
と言われたメッセージでした。
このメッセージから,私は,ベストセラー本『メモの魔力』(前田裕二著/幻冬舎)で書かれていたメモの効用のひとつ,
「話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)」
を思い出しました。
問題用紙にメモを書き込むことで,書かれている内容や構造を理解できるようになります。
そして,ビジネスシーンや日常生活で,人とのコミュニケーションをとる場合にも,話の骨組みがわかることはとても大切なので,大人になっても,共通テストから学べることがあるのかもしれないと思いました。
また,共通テストは,受験生がいずれ大人になったときに必要となる,思考力・判断力・表現力などを養うための試験であるのだ,と改めて腑に落ちた次第です。