今回の講義は,当用漢字から常用漢字への漢字表の変遷,JISコードから Unicodeへの文字コードの変遷について,解説をしていただきました。
皆さまは,自分が書こうとした漢字と入力した漢字が異なっていて,あわてた経験はないでしょうか。国が定めた漢字表に記載された漢字と,パソコン上で入力した漢字とが異なっている理由は,文字コードの歴史と変遷を知るとよくわかります。
講師の藤本隆氏からは,文字コードの解説の前に,万葉仮名やひらがな,漢字かな交じり表記,戦後まもなく行われた国語施策などや,長い時間をかけて作り上げられた常用漢字表の変遷について,丁寧に解説されました。
ひとまず戦前に使われた漢字の中から使用する漢字を「当用漢字」とし,およそ2,000字が制定されました。一部の漢字の字体が変更され(新字の導入),当用漢字のなかで同音異義語の書き換えが行われました。
文字コードの成り立ちと変遷についても,体系的に解説していただきました。その中でとくに印象的だったのは,文字コードの改良の変遷は波乱万丈であったということです。
1969年に日本初の日本語文字コードができてから,1978年に世界初の漢字コードが生まれます。その後,改良を重ねた1983年に拡張新字体が約300字追加されます。
この約300字は<同じ文字コードでも使うパソコンによっては違う字が表示されてしまう>現象が頻繁に起き,のちに「83JIS改正の悪夢」などと言われたそうです。また,2004年に行われた168文字の例示字形の変更においても,<同じ文字コードでも使うパソコンによっては違う字が表示されてしまう>現象が発生しました。
入力された文字が「紙に/スクリーンに/データに」正しく表示されるかどうかの確認は,大切な観点ですので,いま一度,藤本氏からの解説を復習してみたいと考えているところです。なお,フォントについては,漢字の歴史と文字コードの解説が充実したこともあり,次回の持ち越しとなりました。
今回もエディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートを作成しております。
合わせてご覧いただければ幸いです。
http://www.edit-jp.com/report/2021-0525.html