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エディット通信(2021年菊花号)
■日本編集制作協会(AJEC)/「レイアウトとデザインの基礎」を聴講して
先日,オンラインによるAJEC編集講座のBコース・第5回を聴講いたしました。
読者に誌面デザインを,興味深くしっかり伝わるような仕掛けにするためには,編集者とデザイナーは密なコミュニケーションを取る
ことが必至になります。
今回の講座は,編集者とデザイナーとのコミュニケーションを円滑に図るための基礎知識を学ぶ機会でした。
基本的な内容ではありましたが,いままでに気づかなかったこと,知っていたけれど重要視していなかったことなどが含まれていて,
大いに学ぶことのできる内容でした。
今回も,セミナー受講レポートをご一読いただけますとありがたいです。
講師・藤本隆氏は,70枚以上にわたる充実した資料をもとに,ゆったりとよどみのない語り口で解説されました。
今回は,編集者として,デザイナーとのコミュニケーションを深めるために必要な基礎知識を総ざらいする内容でした。
藤本さんが,Bコースで一貫して言われているのは,編集者として大切なことは,各工程のプロの作業内容を理解することだというこ
とです。
《企画と規格》をバランスよく成り立たせることが,編集者の役割だとも言われています。
本講座「レイアウトとデザインの基礎」では,次の4つの基礎知識,
- 紙面の構成要素の理解
- 構図の基礎知識
- 色彩の基礎知識
- 文字組の基礎知識
を学ぶことができました。
2.の構図の基礎知識では,
- 正三角形の構図は,安定・安心・安全
- 逆三角形の構図は,不安定・不安・危機
をイメージさせるということを教わりました。
雑誌の見開きを大胆に使った《絶滅危機からの脱出》という誌面を例にした解説は興味深かったです。
3.の色彩の基礎知識では,
《色の連想》について教わりました。
たとえば,赤は,
- 具体的な連想としては「太陽・消防車・血・炎」
- 抽象的な連想としては「情熱・勝利・愛情・怒り・危険」
を表しています。
この具体的な連想は,道路標識から擦り込まれたイメージを思い出すとわかりやすいと言われていたことが印象的でした。
4.文字組の基礎知識では,誌面の基本設計として,
たとえば
- 右開き・縦組み誌面を見開きで見たとき,人は右上から左下に目が行くこと
- 左開き・横組み誌面を見開きで見たとき,人は左上から右下に目が行くこと
を知っておきたいところです。
この理解をすることで,読者に伝えたい優先度の高い内容をどこに載せるとよいのか,考えやすくなります。
他にも,参考になることを教わりました。
デザイナーに修正を依頼するとき,
- 「その修正の理由をきちんと伝えることを忘れないように」
と言われていました。
たとえば,《秋の一人旅》というタイトルがあります。「秋」の字だけ橙色にしていたところへ,編集者が「赤に変えてく
ださい」と言ったとします。
そのとき,デザイナーは,「なぜ赤に変えなければいけないのか」がわからないままだと,混乱し,信頼関係も崩れかねません。
《なぜ赤に変更するのか》の理由を説明することから,編集者とデザイナーとのコミュニケーションが生まれるのではないかと言われ
ていました。
藤本さんは,気に入った誌面デザインがあれば,日頃から自分なりに分析して,どう素晴らしいのかを説明できるようにしているそう
です。
- 「チラシの裏側にでも,気楽にそのデザインをザックリ書いてみることを,おすすめしたいです」
と言われていました。
やはり今回も,見どころ聴きどころは,藤本さんのさりげないつぶやきにあったと思っています。
エディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートをまとめております。下記を合わせてご覧いただければ幸いです。
https://www.edit-jp.com/report/2021-1021.html