エディット通信(2024年立夏号)

2024年5月8日から開催予定の、「EDIX東京」に、伊藤は二日間(9日・10日)見学に出向く予定にしております。
もし、何かお仕事に関するお声がけなどがございましたら、東京ビッグサイト内のどちらかでお話できればありがたく存じます。
以下のメールアドレスにご連絡をいただけますと幸いです。

◆メールアドレス(伊藤隆/いとう・たかし):t-ito@edit-jp.com

下記に、EDIX東京の関連情報、関連記事のアドレスを紹介いたします。
ご参考になさってください。

第15回 EDIX(教育総合展)東京
会 期 2024年5月8日(水)~10日(金)
時 間 10:00~18:00※最終日のみ17時終了
会 場 東京ビッグサイト
主 催 EDIX実行委員会(企画運営:RX Japan株式会社)
(エディットは出展しておりません。)

●EDIX東京 展示会概要
https://www.edix-expo.jp/tokyo/ja-jp/about.html
●EDIX東京 来場のご案内 ※会場案内図のPDFが見られます。
https://www.edix-expo.jp/tokyo/ja-jp/visit.html
●出展社検索
https://www.edix-expo.jp/tokyo/ja-jp/search/2024/directory.html?co=web_tokyo_jp_top_navi#/
●セミナー一覧
https://www.edix-expo.jp/tokyo/ja-jp/seminar.html
●EDIXのオウンドメディア
https://www.edix-expo.jp/hub/ja-jp/blog.html?co=web_tokyo_jp_top_gnavi

よろしくお願いいたします。

出版ネッツことば+αの会
「出版校閲からみた、新聞の表記・校閲」を聴講して

・テーマ: 「出版校閲からみた、新聞の表記・校閲」
・講師:新村 恭 氏
・とき:4月30日(火) 19:20〜21:00
・ところ:新大阪 ココプラザ4F

新村恭氏は、岩波書店にて長年編集・校正・制作に携わってこられました。
担当された本としては、『田中正造全集』『シリーズ日本近現代史』『岩波講座 東南アジア史』『網野善彦著作集』など、多数を数え上げられます。

2010年に岩波書店を定年退職された後、人間文化研究機構で研究情報誌『HUMAN』の編集を担当されました。
2017年からは、京都の新村出記念財団の嘱託・管理人をされ、出版ネッツ関西支部に移籍されました。
現在は「新村出全集補遺」の編纂主任をされています。

今回の新村恭氏のお話は、昨年開催された出版ネッツ主催の講演『新聞校閲からみた出版校閲(水上由布氏)』に対応するものとなります。
毎日新聞の校閲センター大阪グループに所属される校閲記者・水上由布氏が「出版校閲」を語る内容でした。

今回は、出版校閲の立場で新村恭氏が、新聞の表記・校閲について語られました。

新村氏が取り上げた新聞の表記・校閲の特徴のなかより、私が興味をもった特徴を三点紹介いたします。

一つめの新聞の特徴は、難しい漢字は避け、常用漢字以外は使用しないということです。
たとえば、「誘かい」「漏えい」「あい狂言」「障がい」などという表記です。
「誘かい」などは、《さそうかい》などと一瞬読んでしまいたくなります。

出版校閲の立場では、
「難しいと思う読み方の言葉は、ひらがなで表記するよりも、漢字で書いた方が、わかりやすいのではないか。」
「漢字表記の良いところは、漢字にもともと含まれている意味合いを伝えられるところ。」
「たとえば、『くずおれる』という言葉は、『頽れる』と書いた方が、ニュアンスが伝わる(『崩折れる』は誤り)。」
「漢字とひらがなの混ぜ書きはせず、すべて漢字にして、ルビを振るのがよいのではないか。」
と新村氏は言われていました。

二つめの特徴は、アルファベットを縦書きにし、算用数字を多用することです。
縦書きの記事が多い新聞では、アルファベット表記を縦に一字ずつ書きます。
たとえば、朝日新聞4月22日の記事で、吉田麻也(元サッカー日本代表主将)の現ニューヨークギャラクシーにたいする現地評として、
「good locker room guy」
とあります。

このメルマガでは、横文字で記載していますが、新聞では、縦書きでアルファベット一字ずつが縦に組まれています。
出版の場合は、縦書きであっても、アルファベットの部分のみ横組み(インターネットのアドレス表示と同様に)にします。

また、新聞は「1つ、2つ、……」と算用数字を併用して書き、その表記を縦組みでも展開されるところが、出版の表記と異なるところだと指摘されました。
新村氏は、「一つ、二つ……」としたいと言われ、縦組みのときの算用数字の使用に違和感あり、と言われていました。

三つめの特徴は、権力の要請などを受けやすいというものです。
たとえば、
「処理水か汚染水か」
「定住外国人か移住外国人か」
「副作用か副反応か」
と言葉を比較すると、その特徴が捉えられやすくなります。

新型コロナウイルスのワクチン接種による反応を、「副作用」とするか「副反応」とするかについて、改めて考える機会になりました。
「副作用」「副反応」ともに、英語では「side
effect」となるけれど、日本には独自の区別があり、ワクチン接種の場合には、厚生労働省は「副反応」と決めたと各新聞社は認識し、それに従っています。

「副作用」とは、薬に主体があり、薬に問題があるかどうかを考えさせ、受け止められる言葉。
「副反応」とは、接種する人に主体があり、接種する人に問題があるかどうかを考えさせ、受け止められる言葉。

「副反応」が世間でとみに使われるようになった背景(2018年の広辞苑には「副反応」という言葉は入っていない)には、
「何があっても、国のせいではなく自己責任ですよ。」
と言われているような、言葉の選択がなされているのではないかと見立てられていました。

同じ意味合いの言葉が複数あるなかで、あえてその言葉を選択する背景には、その媒体の信条や思想が見え隠れしていることを考えさせられました。

このセミナーが終了した後の懇親会でも、参加者同士の意見交換が活発に行われていました。
改めて「表記・校閲」とは、その業界の背景が映し出されていることを考え直す良い機会となりました。

■エディットのお薦め記事

●国民的辞書「広辞苑」の編者新村出の旧宅を訪ねて
http://www.kenbun.info/backnumber/19spring/special01/index.htm

●VTuberエレン先生のプライベートレッスンが受けられる。参考書『エレン・ベーカー先生 はじめての英語教室』
https://www.famitsu.com/article/202404/3026

●奥付と検閲と著作権
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/uploads/findbook/collection/naimusho/kikakutenji/naimushou_archive1.pdf
江戸時代からの奥付の歴史が詳しく書かれていてとても面白いです。印税という言葉の意味、昔の本にあった「検印廃止」の謎も解けました。

●共通テスト「情報I」導入、教員の8割超が不安
https://resemom.jp/article/2024/04/09/76713.html
試作問題しかないので不安は当然ですね。

●新入試科目「情報I」全範囲を無料で学べるWebサイト開設
https://resemom.jp/article/2024/04/08/76704.html

●ストックフォト大手PIXTA、生成AI学習用素材としてコンテンツ販売へ
https://ascii.jp/elem/000/004/193/4193103/
法規制がないので、こういうビジネスもこれから増えそうですね。

●最新アップデートでAdobe Firefly の使い方が変わってしまった
https://note.com/creative_edge/n/n224c164218ac
構図を指定できるようになりました。

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