エディット通信(2024年向暑号)

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エディットのメルマガ「エディット通信」(2024年向暑号)をお送りします。

〇エディットの計画有給取得日(6/12)のお知らせ

エディットは、6月12日(水)は、計画有給日を頂戴いたします。
その日に、業務上のやり取りなどが発生するようでしたら、事前に担当者とやり取りを進めておいていただけますと幸いです。

●牟田都子氏『文にあたる』 を読んで

今回は、牟田都子(むた・さとこ)氏の『文にあたる』(亜紀書房)を紹介します。

牟田都子さんは、図書館員を経て出版社の校閲部に勤務された後、2018年より個人で書籍・雑誌の校正をされています。
『文にあたる』は、親しみやすい文体で書かれ、牟田さんのお人柄を感じさせる内容となっています。

この本は、4~5ページの文章が50篇あり、3章に章分けされています。
章のタイトルは、「1章 赤鉛筆ではなく鉛筆で」「2章 常に失敗している仕事」「3章 探し続ける日々」です。
これらのタイトルを目にするだけで、校正の仕事の輪郭が見えてきます。

各篇のタイトルも魅力的です。
例えば、「わからないまま通すな」「上手い人を見る」「人の誤植は拾わない」「新種の蝶を見つけるように」「読者に気づかれない間違いはない」などです。

各篇の導入の仕方も面白いところです。
タイトルを引き立てるように、牟田さんの文章の前に、おそらく牟田さんが味読された書籍の一節が引用されています。
引用された文章があることにより、牟田さんの文章は細密画のように印象的なものになっています。

50篇のなかの「マッチングサイトがほしい」という一篇が、私の日ごろの実感と重なって強く心に残る内容でした。

組織に属さない外部校正者の立場で、料金交渉やスケジュール管理についての難しさを記されています。
タイトルにある「マッチングサイト」とは、編集者と校正者との間をつなぐ仕組みです。
原稿やゲラの仕上がりのレベル感、校正のチェック観点、校正日数、諸経費の有無、関係資料の準備の有無、等。
それらがしっかり伝えられた状況で、校正者との合意・納得感を得て、最適な校正料を提示してほしい旨、書かれています。

編集プロダクションに属する編集者として、校正者に上記の観点をしっかり伝えて合意し切れているのか、振り返ると反省することしきりです。
フリーランスの校正者の実態を知り、出版社の編集者の皆さんの現状を理解する努力を、編集プロダクションの編集者は求められていると痛感しました。

「個人で仕事をするということは、交渉ごとが苦手であろうとなかろうと、一切を自分で引き受けなければならない」と言われています。
日程をずらしたり、断ったりする相談をし、料金の相談をすると、次の仕事の依頼がこなくなるかもしれないという恐れを、フリーランスの方は持っていることを忘れてはいけないと感じました。

「難しいのは校正がポートフォリオを作りにくい仕事であるところです」とは、鋭い指摘です。
校正力があるかどうかを知るのは、履歴書を見るだけでは本当のところはよくわからないわけです。
《まず力がありそうな経歴と実績を持つ人に頼んで、具体的にその結果を見てからしか、本当にその人に依頼し続けていいのかは判断できない》という難しさがあり、校正者の新規開拓の難しさを再認識しました。

「人の誤植は拾わない」の篇の冒頭では、『校正の散歩道』(古沢典子氏)のなかから、
《西島さんは他の校正者が、自分の担当した本を見られるのを怖がると「わしはひとの本を読む時には絶対に誤植は拾わんことにしている」とおっしゃいました》
を引用しています。

引用中の西島さんとは、岩波書店の初代校正課長であり、「校正の神様」と呼ばれた西島麦南氏のことです。
そんな校正のプロも、日頃目にする本には厳しいチェックの目を光らせないというエピソードは、どこかほのぼのとさせられるものがありました。
読み物としても楽しめ、校正にまつわる知識も深まる味わいのある本です。

★牟田都子著『文にあたる』(亜紀書房)定価1,600円+税
★関連記事 校正をすると人に優しくなる。校正者・牟田都子『文にあたる』インタビュー
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