校正ミスは本づくりに付きもので,やってもやっても出てくる。校正がプロフェッショナルな仕事として成立する理由もそこにある。14年間,専門学校で「雑誌づくり」を教えているが,学生の校正ミスの多さに驚く。卒業制作として1人A4判12ページの雑誌を作ることになっているが,毎ページ文字や表記の誤りが見つかる。正しい言葉・文字を知らない。気がつかない。一字一字吟味することをしない。印刷になってから先生に指摘され,取り返しがつかない場合が多い。インタビューした人の名前を間違える学生もいる。本ができたら見せてほしいと言われても,恥ずかしくて持っていけない。
学生だけを責めるわけにはいかない。30年間本づくりに携わってきた私も,いままで顔が赤くなるような校正ミスを何度出したことか。今でもよく校正ミスの夢を見る。目が覚めて,「あー,夢でよかった」とほっとする。それだけ完全にミスのない本を作ることは至難の技である。
「後生畏るべし」ということわざがある。自分のあとから生まれてくるものたちを尊敬しようという意味だ。これをもじって「校正恐るべし」とよく言われる。知っておこう。