整理の終わった文字原稿はふつう印刷所や写植屋さんに渡され,そこで印刷用の文字組みが行われる。これを組版作業という。組版されたものをコピーしたりプリントしたりしてできたものが「校正紙」である。
校正の基本はこの校正紙と原稿との照合作業である。原稿を印刷文字に組んだときの誤りを見つける仕事だ。原稿が完全ならば,校正紙が原稿どおりになっているかを漏れなく確認すれば校正作業は済む。つまり組版上の誤りのチェック作業だけでよいのだ。しかし現実には原稿そのものに誤りがあったり,新たに直したい箇所が出てきたりする。
また最近はワープロ原稿が多い。データをそのまま使って組版を行うので,文字の誤りはないはずだ。その場合は校正する必要がないということになる。しかし現実は違う。ワープロ原稿は意外にミスが多い。それもとんでもない誤りが出る。ワープロは勝手に文字を変換してしまうからだ。ふつう正しい文字が見つかるまで確定しないが,原稿の内容に集中していたり,長い文章を一気に入力したりすると,一つひとつの文字の確定まで神経が行き届かないことが多いからだ。