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2022-09-22 9月編集講座「印刷・製本の歴史と現在」(藤本隆氏)に参加して

◎オンライン講座「印刷・製本の歴史と現在」

講師:藤本 隆(ふじもと たかし)氏
プランディット 編集事業部 編集長
【講師略歴】
ベネッセグループの編集専門会社にて編集業務に長年携わる。学習教材をはじめ情報誌、フリーペーパー、教育系タブロイド、資格系教材、広告チラシ、フライヤーなど広範な印刷媒体の企画・制作経験を持ち、原稿、記事の執筆、イラストレーション、DTPデザインもこなす。ベネッセグループ各社向けの育成研修講師を務める。
著書に『印刷発注の基本がわかる本』(日本能率協会マネジメントセンター)。
(AJECの講師プロフィールより)

 AJECの第16期の2回目の編集講座は藤本さんのオンライン講座でした。今回は、前期になかった印刷・製本の話です。

 AJECでも、コロナ禍の前には、毎年一度、大日本印刷の工場見学という研修会がありました。今回は、それをオンラインで藤本さんがツアー・ガイドのように丁寧に紹介してくれました。写真やアニメーションを利用して、まるで工場見学に行ったように学べたのではないかと思います。

 以下、藤本さんの講義の内容を簡単に紹介します。

<講義内容>

●印刷と組版の歴史

※詳しくは前回のレポートを参照してください。オンライン講座「編集の基礎─工程と役割─」

●印刷の原理と印刷方式

  凸版→活版印刷・樹脂凸版印刷
  凹版→グラビア印刷
  孔版→スクリーン印刷
  平版→オフセット印刷
  版なし→インクジェット印刷
  ※アニメーションを使って、インクがどのように紙に転写されるか、説明されていました。

●プロセスカラー印刷

●枚葉機と輪転機

●印刷用紙

●製本の分類

●POD(プリント・オンデマンド)

●1冊の本ができるまで

<感想>

 今回は、紙の本の「印刷と製本の歴史と現在」という話でしたが、写真やアニメーションをうまく利用して、まるで実際の印刷所に行って見てきたかのように実感できる解説でした。特に、貴重な印刷機の写真を見せながら、枚葉機や輪転機でのカラー印刷の説明は、よく分かりました。ここ2年間ほど、コロナ禍のなか、印刷所見学に行く機会がなかったことを考えると、とても参考になる講演になっていたと思います。

 紙の本は、最終的に、印刷・製本されて製品になります。もちろん、印刷に利用される製版までは、デジタル化され、より効率的・便利な作業工程になっていますが、印刷以降は、基本的には昭和時代から始まったオフセット印刷が主流です。最後は、物理的な現実の物としての本になります。ただ、最新の大型印刷機は、高速になり、製本もできるようになっています。

 印刷用の面付けについては、白紙の紙を実際に折ってみて、そこにページ数(ノンブル)を書き込んで確かめてみるとよく分かります。大型輪転機で一度に印刷・製本してしまうようになると、各ページのデータがすべて揃っていないと意味がありませんが、少し昔は、少しずつ印刷・製本をしていたので、急いでいるときは、組版ができた順に印刷に回して効率よく1冊の本を作るために、面付けに必要なページをまとめて順に校了にしていたことを思い出しました。

 「ゲラ」という言葉は、活字組版をしていた頃の「ゲラ刷り」からきていますが、印刷・製本の歴史を知っていると、私たちが何気なく使っている印刷用語の意味が分かってきます。すべての工程がデジタル化されている現在では、必ずしも知らなくても本はできますが、デジタル化されてきた流れを知っておくと、今後の工程の合理化や効率化にも役立つことがあるかも知れません。道徳の教科書に出てきそうですが、印刷・製本の歴史を知ることは、現在の印刷・製本の現在を作ってきた名もなき先人たちの努力や工夫を知ることになり、敬愛の気持ちが生まれてきます。

 現に、私たちは、デジタル化された工程をさらに便利に、かつ効率良く改善していくために日々工夫を重ねています。最終的には、AIなどを使った、工程管理ということになるのかもしれませんが、AIが言葉の意味を理解できるようにならないと完璧な吟味・校正などはできないと思われます。そうした意味では、まだまだ編集者や、工程に関わっている多くの協力者の力が必要です。直ぐに、実践に活用できる知識ではありませんが、時には時間を作って、出版に関わる歴史を振り返ってみるのも大事だと思いました。


(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)